「想定外の大発見」 藤原宮跡大極殿跡の階段遺構 天皇用階段も
橿原市の藤原宮跡大極殿跡で9日、初めて見つかった階段遺構。後に水田として耕作が行われたため遺構の状態は良くないものの、研究者には「想定外の大発見」だった。中央階段は宮の中軸線上にあり、豪華な装飾が施された大極殿の「天皇用の階段」とみられている。
奈文研がこの現場で調査を始めたのは今春。大極殿前にあると想定された、儀式で使う旗「憧幡(どうはん)」を立てる柱穴遺構の確認が大きな目的だった。だがその遺構は確認できず、代わりに階段遺構が初めて出土した。
担当した同研究所の清野陽一研究員は「藤原宮大極殿の構造解明につながる成果」としつつ、「階段跡が見つかったことは驚きです」。現場を見た黒崎直・富山大名誉教授(考古学)は、「大極殿は左右対称につくられているので、今回の発見で、南面には西階段を含めて計3つの階段があるとわかった。わが国初の本格的な大極殿である藤原宮大極殿を復元する重要な資料になる」と話す。
大極殿は天皇が政治を行った中枢施設。南側の朝堂院に点在する役所群より一段高い基壇上に建てられ、天皇の権威を示す独占的な空間といえる施設だった。
元日朝賀など重要な儀式では天皇が住まいの内裏から大極殿に出御した記録が続日本紀にある。階段を降りて小石敷きの内庭を進み、大極殿南門に出向いたこともあったと考えられている。
藤原宮跡の発掘調査にも携わった木下正史・東京学芸大名誉教授(考古学)は「今回の調査では大極殿建物の復元ができる確実なデータが初めて得られ、画期的な発見といえる」と評価。「基壇も凝灰岩で豪華に化粧されていたと思う。中央階段は宮の中軸線にぴったりとのっており、天皇が利用した階段だったと考えられる」としている。
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