奈良競輪 売り上げ1・4倍 コロナ下でネット需要急拡大
新型コロナウイルスによる巣ごもり需要で、県営競輪の売り上げが好調だ。令和2年度の車券発売金額は前年度比1・4倍の約187億円の見込み。売り上げに貢献しているのはインターネットによる販売。あまりの好調ぶりに払戻金として確保していた予算が足りなくなる事態に。ネット販売限定の「ミッドナイト競輪」にいち早く力を入れていたこともコロナ下での売り上げ増につながった。
県によると、新型コロナウイルスの影響で、昨年4~5月に予定していた5つのレースは中止や無観客になるなど売り上げの減少が予想されていた。
ところが、昨年月から想定外の好調が続き、払戻金が不足。県は2月に急遽、億円の補正予算を組んで対応した。
この好調を支えたのがネットでの車券販売だ。そもそも、かつては競輪場や場外車券売り場の窓口で購入するのが主流だった車券販売。だが、数年前から全国的にネットでの販売が主流になりつつあり、新型コロナで一気に広がった。
ネット環境さえあれば、レースのライブ中継も配信されるとあって、手軽さが魅力なようだ。
■時期も追い風
一部のレースを除く、1日の平均売り上げを比較すると、奈良競輪は令和2年度1月時点で3億2878万7千円(ネット比率85・9%)。元年度の2億839万6千円(同68・2%)から1億円以上増えた。
2年度12月時点の全国平均は2億4952万6千円(同79・8%)で、売り上げが多い1月が計算に入っていないことを考慮しても、奈良の好調ぶりが分かる。
奈良競輪によると、実はこれには複数の要因が重なっている。一つは奈良競輪場の耐震改修工事により、例年6~11月に開催されているレースが、12月以降にずれたことだ。競輪の売り上げは12、1月が多い傾向にあり、追い風となった。
■夜間レースも
もう一つは、「ミッドナイト競輪」に力を入れていたこと。ミッドナイト競輪は、午後9時~11時半ごろに無観客で開催されるネット販売限定のレース。競馬や競艇が開催されておらず、仕事から帰った社会人が楽しめる時間帯を狙い、通常の競輪より出走人数が少なく、予想しやすいのが特徴となっている。
奈良競輪場では令和2年度計58日間レースを開催したが、そのうちの48%がミッドナイト競輪だ。全国平均は29・9%なので、奈良が突出して高い。
奈良競輪場の担当者は「ここまで売り上げが伸びるのは想定外だった。うれしい誤算」と喜ぶ。新型コロナで誰もが我慢が強いられる状況が続いているが、「年代を問わずいろんな人が楽しめるように努力しているので、コロナ収束後にはぜひ競輪場にも足を運んでほしい」としている。