クラスター発生の県庁 不要不急の来庁を自粛呼びかけ
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染対策の中枢を担う県庁でクラスター(感染者集団)が発生した。職場での日常業務を通じ、感染が広がったとみられ、15日までに計32人の感染が確認された。県は県民に不要不急の来庁を自粛するよう呼びかけ、屋上への立ち入りも禁止に。日頃からマスク着用や換気など対策を行っていたというが、さらなる対策強化に乗り出している。
感染が広がったのは、県の本庁舎3階にある県長寿・福祉人材確保対策課。同課に所属する職員は11人で、3月29日に同課の40代職員の感染を確認。同30、31日に同課のほかの職員にもPCR検査を実施したところ、6人の陽性が判明、クラスターと認定された。
3階はコロナ対策の中枢を担う医療系の担当課が多くある。クラスター発生を受け、県は3階で勤務する職員計389人のPCR検査の実施や、消毒作業など対応に追われた。
これまで職場での感染防止のため、検温や消毒、少人数の会議、換気徹底などを呼びかけてきたが、県人事課の中野泰寿課長は2日の会見で、「現実に(クラスターが)出たということは、何らか不十分だったのだろうという認識は持っている」と述べた。
なぜクラスターが発生したのか。県はフロアのトイレや電話、ドアノブなど備品の共用、自席でマスクを外して食事をしていたことなどを推定要因として挙げる。同課では席が向かい合うように配置されているといい、県は改めて手指の消毒徹底を呼びかけるほか、飛沫防止のアクリル板の設置を進めている。
感染防止をさらに徹底するため、3階への不要不急の立ち入り自粛を呼びかけるほか、各階のエレベーターホールなど計15カ所に消毒液を追加で配置。エレベーターの定員は5人までとした。担当者は「時差出勤やテレワークも活用し、(職員同士の)接触の機会を減らすよう努めていく」と話している。