アンデス 造形土器の世界 天理参考館で企画展
2021年05月16日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
南米ペルーを中心とする中央アンデスの古代文化を紹介する企画展「器にみるアンデス世界」が、天理大付属天理参考館(天理市守目堂町)で開かれている=写真。身の回りの動物や植物をかたどった多様な土器が来場者を楽しませている。
アンデスのインカ帝国がスペインに征服されるまでの「真作」と、19世紀以降に欧米がアンデスの土器を高く評価したことで盛んに作られた「贋作」の計約100点を展示。
カボチャや果実のチェリモヤ、エビなどをかたどった土器が目を引く。また、注ぎ口が馬具の鐙のような形をした鐙型注口壺という基本形が、時代を超えて維持されているのが注目される。
球体のユニークな形の「笛吹ボトル」は、酒やサボテンから抽出した液体を入れ、神聖な儀式で吹き鳴らされたと考えられている。
荒田恵学芸員は「紀元前から16世紀まで、葬祭儀礼に使用された器の多くは、形の変化が見られない。トカゲやネズミ、果物や野菜などの造形美を楽しんでもらいたい」と話す。
同館は「多様な文化とペルー社会に生きる人のたくましさを感じてもらえれば」としている。6月14日まで(休館日あり)。問い合わせは同館(0743・63・8414)。