当麻寺 仁王像頭 ハチの巣を除去 新たな巣箱に移動
当麻寺(葛城市)の仁王門で25日、仁王像の頭の内部につくられたニホンミツバチの巣を除去する作業が行われた。ニホンミツバチは希少種のため、殺して駆除するのではなく、境内に新しい巣箱を設置して保護した。
仁王像は、江戸時代に造立された阿形像と吽形像の2体(ともに市指定文化財)。ハチがすみ着いたのは阿形像で、「阿吽の呼吸」のいわれの通りに開いた口部分がハチの巣の〝玄関〟となっていた。
寺によると、平成10年ごろにはハチの出入りが確認されているという。
この日は、公益財団法人「美術院」の職員らが、ハチを刺激しないよう布やビニールで覆った頭部を胴体から取り外し、内部の巣を取り出した。
同寺中之坊の松村實昭院主は、「数千~1万匹のハチがいた。駆除だけなら楽だが、できるだけ生かし、女王蜂を巣箱にうつしたい」と作業を見守った。
作業に協力したニホンミツバチの愛護団体「NPO法人ビーフォレスト・クラブ」(奈良市)によると、ハチの集団は、女王蜂のフェロモンに集まるという。取り出された大量の巣からは、はちみつにまみれた女王蜂が無事に発見され、同NPOのスタッフが水ではちみつを洗い流し、新しいすみかとなる巣箱に移した。
同NPOの吉川浩理事長(69)は「自然林に恵まれた当麻寺の環境がニホンミツバチを守ってきた。保護ができてよかった」と話した。