モリスの生涯たどる 県立美術館で特別展 傾倒の富本憲吉作品も
「モダン・デザインの父」と言われるイギリスの芸術家、ウィリアム・モリス(1834~96年)を紹介する特別展「ウィリアム・モリス原風景でたどるデザインの軌跡」が、県立美術館(奈良市)で開催されている。8月29日まで。壁紙や織物、書籍のデザインなどが展示され、モリスの生涯をたどっている。
モリスはロンドン郊外に生まれ、建築家や画家を志したが、やがて装飾美術の仕事をするように。長編物語詩「地上楽園」により詩人としても有名になった。中世の手工芸を見直すアーツ・アンド・クラフツ運動を先導し、晩年は造本にも情熱を傾けた。
特別展ではモリスの作品45点、モリスの仲間たちの作品35点に加えて写真家、織作峰子さんが撮影したモリスにちなむ風景などの写真21点も並べる。モリスの作品ではエレガントな花柄が左右対称に展開される壁紙「るりはこべ」やプリント木綿の中でも人気を得た「いちご泥棒」などがあり、デザインの軌跡をたどることができる。
また、安堵町出身で近代陶芸の巨匠として知られる富本憲吉の作品を展示。モリスの芸術に傾倒した富本はイギリスに留学し、モリスを日本に紹介した。
休館は月曜(8月9日は開館)と8月10日。観覧料は一般1200円など。問い合わせは県立美術館(0742・23・3968)。