漆工品修理の北村繁さん 文化財守る「選定保存技術保持者」に
2021年07月21日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
文化財保存に欠かせない伝統技能を持つ「選定保存技術保持者」に奈良市の漆工品修理の北村繁さん(49)が認定されることになった。国の文化審議会が答申した。
北村さんは、人間国宝で同保持者の昭斎さん(83)の次男。今回昭斎さんは高齢のため保持者の解除を申し出た。父から引き継ぐ形で認定される北村さんは、「バトンを渡され、貴重な文化財を後世に残すために努めたい」と決意を語った。
北村さんは、昭斎さんのもとで漆工技法を習得し、大阪芸術大学で金工の製作技術を学んだ。同大卒業後、父の助手として正倉院宝物や国宝・重文の漆工品の保存修理、復元模造品の製作に従事。各時代の漆工品の技法を知るとともに金属材料についても知見を持っている。また、漆工品修理の後継者育成などにも取り組んでいる。
北村さんは「奈良の地でいろいろなご縁をもらい(漆工品の修理に)携わってきた。さらに次にバトンを渡せる人が育ってくれれば」と話している。