希少種トンボ「コサナエ」 奈良市内で生息確認
2021年07月28日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
県はこれまで下北山村でしか生息が確認されていなかった希少なトンボ「コサナエ」の新生息地が奈良市内に見つかったと発表した。コサナエは県の特定希少野生動植物に指定されており、県は今年度中に保護管理計画を策定し、来年度から事業を実施する予定という。
コサナエは山間部の池や休耕田などに生息する体長4㌢前後の小型のトンボで、成虫は5月下旬から6月中旬の短い時期にしか見ることができない。日本の特産種で北海道から本州に分布するが、近畿地方では生息域が限られている。県内ではこれまで下北山村の2カ所でしか生息が確認されておらず、里山の環境悪化などで減少が懸念されていた。
ところが今年5月、川上村の「森と水の源流館」職員の古山暁さんが奈良市内の山間でコサナエを発見。6月に県職員とともに現地確認を実施したところ、雄1頭が見つかり、新たな生息地が確認された。
古山さんは「10年近く探してようやく見つかった。紀伊半島でのコサナエの分布を読み解く上で重要な発見」とした上で、「今後の保護活動にも役立てたい」と話した。