ものづくりの魅力伝えたい 「風の家工房」堀内義弘さん
田んぼが広がるのどかな風景の中にたたずむ「寧楽兄弟社 風の家工房」(天理市遠田町)。ペンチやトンカチ、ノコギリ、木型といった道具がずらりとならぶ。工房を主宰するのは堀内義弘さん。使い込み、手に馴染んだ道具で、ひと工夫凝らした木工品とレザークラフトを生み出している。
堀内さんは元教諭。天理市や三宅町、田原本町の4つの小学校で36年間勤めた。木工は気軽な「お父さんの日曜大工」の延長というが、実践的なノウハウをたくわえてきた。自宅の棚などはもちろん、教諭時代は児童の荷物棚の使い勝手をよくしたり、校内に「あったらいいな」を形にした備品を製作したり。
「退職したら、ものづくりの道があるね」。そんな同僚の声を背に3年前、早期退職して工房を開いた。ものづくりが好きだった、亡き兄の遺した道具を生かしたいとも思っていた。今も30年も前のものも大切に使い続けている。
レザークラフトを始めたのは40代半ばのころ。水筒とカメラのケースを探したが気に入るものが見つからず、自作した。長男から「就職祝いに学生カバンのようなビジネスバッグが欲しい」と頼まれると、試行錯誤しながら半年かけて作るほど、のめり込んでしまい、結果、腕を磨いた。
木工品は家具、レザークラフトは小物が中心で、いずれも基本はオーダーメイド。作品を広く知ってもらおうとイベント出店などに力を注いできた。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大でままならない。そこで、財布やペンケースなどを作る体験教室を工房で開く。1日1組と規模は小さいが、4月には旅行サイトのレザークラフト体験で県内1位の評価を得た。
「自宅で過ごす時間が増えた今、手を動かし、集中してものを作る面白さや魅力を伝えていきたい」と話す。