「奈良町の南玄関」歴史と文化を探索 有志が書籍発刊
奈良町南部地域の魅力を再発見してもらおうと、元興寺文化財研究所(奈良市)の研究員や地域の有志が執筆した「奈良町の南玄関 歴史と文化の扉をひらく」(税別1200円、京阪奈情報教育出版)が発刊された。地域の古代から近現代までの歴史や文化について、知られざる側面も含めまとめている。
肘塚町、京終町、紀寺町などから成る奈良町南部地域は、古代から交通の要衝で、都市の境界域だった歴史・文化を持つ。最近はJR京終駅の駅舎が明治年の開業時の姿に復元されるなど、地域への関心が高まる中、地元有志も調査・執筆に参画した。
同書の第1章「平城京の時代(古代)」では、実態が分かっていない古代寺院の紀寺や佐伯院について解説。伝承が残る福寺については、その位置などを探り、藤原氏の氏寺であるとともに霊場や迎賓館的な側面があったことにも触れている。
第2章「歴史都市奈良を形作った町と村(中世・近世)」は同地域を通った上ツ道などについて、第3章「少し昔の暮らしと産業(近代)」では、最古とされる銭湯があったことなどを紹介している。第4、5章で取り上げたのは寺社と信仰、年中行事など。
編集・執筆者代表の服部光真・元文研研究員は「地域の歴史・文化を知ってもらい、価値を再認識してもらう機会になれば」と話している。