幻の大伽藍、CGで復元 大安寺が資金募る
2021年10月5日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
大安寺(奈良市)は、奈良時代の大伽藍をCG(コンピューターグラフィックス)で復元するプロジェクトに乗り出した。来年3月末に完成させ、境内の宝物殿に大型ビジョンを設置して公開するという。インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を行っている。
大安寺は、世界遺産の東大寺や興福寺とともに「南都七大寺」の一つで、最古の官立寺院とされる。大官大寺(明日香村)を前身とし、平城京遷都に伴い現在の場所に移転した。
最盛期には約26万平方㍍の境内を誇り、国内外から多くの僧が出入りする「仏教の総合大学」だったが、現在の境内は当時の4%程度の面積という。周囲には住宅も建ち並び、再建は困難なため、「CGで当時の壮麗な姿を伝えたい」(大安寺)としている。
CGは奈良文化財研究所が監修し、金堂や講堂、2基の七重塔などが並ぶ伽藍を再現。コントローラーを操作して画面上で自由に「散策」し、建造物の細部にも迫ることができる仕様とした。
大安寺の河野良文貫主は「建築史や考古学の研究者の指導で学術的な成果に基づいたものが完成しつつある。いろいろな所で活用されればありがたい」と話した。
プロジェクトの予算は約3千万円で、CFは1千万円を目標に11月30日まで募集する。