太子の「和」を表現 劇団いかるが
2021年10月22日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
斑鳩町の町民らでつくる「劇団いかるが」が、聖徳太子1400年遠忌を記念した舞台「夢殿物語」を月7日、いかるがホール(同町興留)で上演する。太子が制定した十七条憲法の「和を以て貴しとなす」を現代的なメッセージにアレンジした物語だ。
主人公の周平は、病で亡くなったかつての妻、和代の告別式に参列し、近くの法隆寺夢殿に立ち寄る。そこは若かりし頃、2人が将来を誓い合った場所。しかし、すれ違いの末、別れを告げた場所でもあった。ぼんやりとたたずむ周平の目の前に突然、聖徳太子が現れ、静かに語りかける…。
脚本を書き、演出も手がける横田丈実さんは「聖徳太子の『和』は調和、平和などたくさんの意味合いを持つ。ひとりで生きる周平が亡き元妻を通して、つながりの和を再生する物語が描きたかった」と語る。新型コロナウイルス感染拡大の影響で人との触れ合いが減り、心に闇を抱える人が増えたように感じたことが理由だという。
聖徳太子役を演じる団長の山根勝慶さんは「日常を切り取り、夢殿の前で立ち話しているような作品。大きな事件も起こらないが、ホッとする平和な時間を感じてもらいたい」と語る。
劇団いかるがは平成年の旗揚げ以来、斑鳩町を題材にオリジナル作品を発表している。
「夢殿物語」のチケットは前売り1500円、当日1800円。全席自由。問い合わせは同ホール(0745・75・7743)。