文化財の写真にデジタルの〝お墨付き〟 田原本町が公開へ
2021年10月29日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
田原本町は、所有する唐古・鍵遺跡の出土品(重要文化財)の画像データを複製が不可能な「非代替性トークン(NFT)」とし、11月にネット上で公開することを決めた。鑑定書付きのNFTはデジタル芸術作品の取引などに使われているが、埋蔵文化財の画像データでは極めて珍しいという。同町は文化財の写真の著作権を明確にし、遺跡のPRも狙う。
NFTは仮想通貨のビットコインにも使われているブロックチェーン(分散型台帳)の技術を活用したもの。取引記録や鑑定書とともに登録することで、データの複製や不正な取引を排除する。国内ではNFT鳴門美術館(徳島県)が今年8月に開設された。
田原本町が登録・公開するのは業務提携するH・S・P(東京)が11月中旬に開設するマーケットプレイスの「Apollo」(アポロ)。土器や木製品、石器など1921点の出土品の画像データから、どれを公開するか検討中という。
データの中にはすでに町のホームページなどで公開しているものもあるが、NFTを「本物」と位置付けたいとしている。森章浩町長は「公開されれば世界のマーケットが相手になる。はたして価値(値段)がつくか楽しみだ」と話している。