弥勒菩薩画の「お身代わり仏」 大分の仏師が奉納 當麻寺中之坊
2021年11月24日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

絹本着色弥勒菩薩画像(右)のお身代わりとして制作された弥勒菩薩坐像=葛城市
当麻寺中之坊(葛城市)の弥勒信仰を伝える掛け軸「絹本著色弥勒菩薩画像」(室町時代)の「お身代わり」として、大分県の仏師が木造弥勒菩薩坐像を同坊に奉納した。劣化防止のため掛け軸が非公開の期間も、年間を通じて拝むことができる。
当麻寺は飛鳥時代の創建時の本尊は弥勒仏坐像(国宝)だが、奈良時代に中将姫によって織り描かれたと伝わる、阿弥陀如来を中心とする極楽浄土の曼荼羅が篤い信仰を集め、転写されて受け継がれた當麻曼荼羅が現在の本尊となっている。
阿弥陀信仰の聖地となってきた当麻寺だが、弥勒菩薩画像の掛け軸は公開期間を年間1~2カ月間に限っているため、お身代わりの仏像が望まれていた。檀信徒の縁で、大分県国東市で仏像彫刻工房を開く仏師の佐藤順教さんが3年をかけてクスノキ材で彫った。
中之坊の松村實昭院主は「掛け軸の品格のあるお姿がお身代わりの像に反映されている。心を鎮めて衆生を救う弥勒菩薩を求め来られる方に、いつでも拝んでいただけるようになり、ありがたい」と話す。
「木造弥勒菩薩新造顕特別展」として30日まで、掛け軸と仏像の両方を拝むことができる。拝観料は大人500円など。