茶室「八窓庵」改修へCF 奈良国立博物館
2021年12月14日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

奈良国立博物館の庭園にある八窓庵=奈良市
奈良国立博物館(奈良市)は令和7年の開館130年に向け、敷地内にある庭園と茶室「八窓庵」を改修するため、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施している。興福寺(同市)の旧大乗院から移築された八窓庵は奈良屈指の銘茶室とされるが劣化が進んでいる。
八窓庵は江戸時代中期に大乗院に建てられ、明治25年に帝国奈良博物館(現・奈良国立博物館)に移された。入り母屋造り、茅葺き屋根の草庵風で、8つの窓が設けられているのが特徴。茶人、古田織部好みの「多窓式茶室」として知られ、「大和三茶室」の一つに数えられたという。
しかし、老朽化が激しく屋根などの改修が必要な状況で、庭園も池に架かる橋などが傷んでいる。同館は茶室や庭園を茶会などに安心して利用できるよう改修し、周回ルートも整備したい考えだ。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により昨年度の同館の来館者は5分の1程度にまで減少。改修に必要な約5千万円の工事費確保のめどが立っていないため、CFを行うことにした。担当者は「奈良の貴重な財産なので、後世に引き継げるようご支援いただきたい」と話している。
1500万円を目標額に、26日まで募集している。奈良国立博物館のホームページからサイトにアクセスできる。