イラストで香芝の役に立ちたい 口と筆で描く岸本亜矢子さん
2021年12月16日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

香芝市の福岡憲宏市長にイラストについて説明する岸本亜矢子さん(右)=同市役所
首から下が不自由なため、口に筆をくわえて絵を描いている香芝市の岸本亜矢子さん(31)が、同市役所に福岡憲宏市長を訪問し、イラストレーターとして地元に貢献したい考えを伝えた。岸本さんは中学時代、福岡市長が経営していた学習塾に通っていた。かつての教え子に福岡市長はにエールを送った。
岸本さんは高校2年のとき、交通事故で頸髄を損傷し、首から下が動かせなくなった。約8カ月間の入院を経て養護学校に入学。現在は訪問介護サービスを受けながら、1人暮らしをしている。
イラストを描くようになったのは入院中。友人からの手紙に返信したい、と口にペンをくわえて挑戦してみた。もともと絵を描くのが好きだったこともあり、技術を磨いた。
冠をかぶったオリジナルキャラクターの「ライオン王子」や白いイルカ、赤ずきんちゃん…。手掛けるイラストの数々は、どれも優しいタッチで描かれている。「登場人物にはすべて背景や設定があり、絵のひとつひとつには物語がある」と岸本さん。作品は奈良中央信用金庫(田原本町)のキャッシュカードや預金通帳のデザインに採用されたこともある。
この日、岸本さんは「イラストの力で香芝市の役に立てれば」と市とのタイアップを申し出た。福岡市長は「和やかな気持ちにさせるイラスト。活躍はとてもうれしい。前向きに考えていきたい」と話していた。

県人権メッセージ作品集「未来に向かって」(令和2年度発行)の挿絵に使われた岸本さんのイラスト