EVバス導入へ実証実験 奈良交通
2022年01月24日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

実証実験で奈良市内の世界遺産を巡ったEVバス(奈良交通提供)
奈良交通は、二酸化炭素の排出がなく環境に優しいとされる電気自動車(EV)バスを使った実証実験を奈良市内で行った。現在は路線がない平城宮跡や薬師寺、若草山頂などを巡る2ルートで、快適性や経済性などを検証。今後の路線再編やEVバス導入に向けての検討材料とする。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための入国制限で、インバウンド(訪日外国人客)が激減しているが、同社担当者は「(二酸化炭素の排出を実質ゼロとする)カーボンニュートラルに積極的に取り組む観光地として発信できれば、世界からも注目される」と期待を込める。
実証実験は、平城宮跡朱雀門から唐招提寺や薬師寺を巡るルートと、東大寺大仏殿前駐車場から若草山頂を巡るルートを設定し、EVバスの開発や販売を行うアルファバスジャパン(東京)から借りた人乗りの車両を使用。昨年12月に2週間、EVと通常のディーゼルバスの2台を交互に無料で走らせて燃費などを検証した。
参加した観光客ら計約960人を対象にアンケートを実施した結果、EVバスは「静かで快適」「環境に配慮しているのがいい」と高評価だったという。
大型のEVバスが導入されれば県内初となるが、コスト高になるなど課題もあるという。同社の担当者は「奈良の観光活性化に向けた取り組みの継続に、今回のデータを有効に活用したい」と話している。