江戸の出版文化を学ぶ 奈良大学で木版摺り講義
2022年01月25日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

学生らを前に木版画の摺りを実演する摺師の中山誠人さん(右)=奈良市
奈良大学(奈良市)は、木版画の摺師を講師に招いて江戸時代に花開いた出版文化をテーマにした講義を行った。学生約20人が、職人が実演する浮世絵の摺り出しを見学し、当時の技術や文化を学んだ。
講義では、木版印刷の書籍を刊行している出版社「芸艸(うんそう)堂」(京都市)の社員、早光照子さんが木版画の技術を説明。国内外で木版画の魅力を伝えている摺師の中山誠人さんが葛飾北斎の「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」の摺りを実演した。
板木を変えながら1色ずつ越前和紙に摺り込む様子を学生らは熱心に見学。講義を受けた2年の石丸琴音さんは「浮世絵の展覧会に何度か行ったが、今回は目の前で作品が出来上がる様子を見ることができ、貴重な体験だった」と話した。
早光さんは「江戸時代には印刷技術が確立され、ファッションブックから旅雑誌、料理本まであった。今後もその技術力を継承し、紙でこそ伝えることができる文化があることを忘れないでほしい」と話した。