興福寺・五重塔 大規模修理ですっぽりカバー?
2022年02月9日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

修理に向けての調査が進む興福寺・五重塔=奈良市
国宝・興福寺五重塔(奈良市)の修理が令和4年度中に本格化する。明治以来約120年ぶりの大規模修理となる見通しで、1年近くかけて塔を覆う巨大な素屋根を建設することになり、修理完了まで塔を見ることはできなくなる。
調査を行っている県文化財保存事務所によると、五重塔では瓦が落下するなど傷みが進行。令和2年から現状を詳しく調べ、耐震診断も実施している。調査は今年の夏まで行い、修理方針を決定する。瓦の葺き替えや木部を含めた修理となれば、冬にも素屋根の建設に着手する。素屋根は鉄骨造りで、高さ50・1㍍の五重塔を覆う。
興福寺五重塔は国内で現存する木造塔としては京都・東寺の五重塔(国宝)に次ぐ高さ。奈良時代の建てられてから焼失と再建を繰り返し、現在の塔は室町時代の再建。以来、明治時代に屋根の葺き替えを行ったほかは大規模修理の記録はないという。
興福寺の森谷英俊貫首は「猿沢池の水面に映る五重塔は、後世に残したい奈良を代表する景観。貴重な国宝の修理について多くの人に理解を深めてもらうために、現場を公開し新たな発見も期待したい」と話している。