「さつま揚げの可能性広げたい」魚万商店、魚谷剛生さん
奈良市の老舗さつま揚げ・かまぼこ店「魚万商店」が、創作さつま揚げの新ブランドを立ち上げた。ブランドマネジャーを務める同店の専務、魚谷剛生さん(31)は「さつま揚げの可能性を広げたい」と試行錯誤を続けている。
同店の4代目、和良さん(62)の長男。奈良市で生まれ育った。大学生のときに「まずは自分の力で就活をやってみよう」と、食品メーカーに就職。スーパーなどに商品を売り込む営業として、兵庫県や愛知県、埼玉県で勤務した。
和良さんから「家業を継いでほしい」と言われたことはなかったが、入社後2、3年経ったころから「会社員を続けるか、実家に戻るか、どちらがやりがいがあるだろう」と考えるように。「小さい会社でもトップに立ち、チャレンジをしてみたい」とやりがいを求め、継ぐことを決めた。
5年間の会社員生活にピリオドを打ち、神奈川県の練り物会社での修業を経て、平成31年4月から魚万で働き始めた。
スーパーで安価な商品も並ぶ練り物業界の状況は年々厳しくなっているという。「これまでとは違うことをしないと続かない時代になってきた」
バレンタインやハロウィンに販売していた一口サイズのさつま揚げに活路を見いだし、昨年9月、創作さつま揚げの新ブランド「nerimo.(ネリモ)」を立ち上げ、好評だ。ブランドのコンセプトは「さつま揚げを、エンターテイメントに。」。これまでの定番商品に新たな風を吹き込んだ。
「企画や開発は前例がなく難しいが、新商品を生み出すことが会社の未来につながっていくと思うとおもしろい」。目を輝かせて語った。