世界遺産の展望施設に 明日香村役場庁舎の再活用案が浮上
2022年05月10日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

明日香村役場の庁舎
明日香村は令和5年5月の新庁舎完成後の現庁舎について、解体はせずに再活用できないか検討を始めた。飛鳥時代の複数の宮殿跡がある飛鳥宮跡のすぐそばに位置していることから、展望施設などにうってつけだという。
現庁舎は、本庁舎(2階建て)や西庁舎(3階建て)など4棟で構成され、延べ約1700平方㍍。昭和30~40年代の建築で、老朽化が進み耐震性も低いことから、基本計画では新庁舎完成後に解体するとしている。
ただ、現庁舎の北側には7世紀に飛鳥浄御原宮や飛鳥板蓋宮などの諸宮が置かれた飛鳥宮跡があり、東側ではその関連施設と考えられる四面庇の「エビノコ大殿」跡が確認されている。
これらは「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成遺産として令和6年の世界遺産登録が予定されている。登録後は村への観光客のさらなる増加が見込まれる。
このため、宮跡を見渡せる絶好の位置にある現庁舎を解体せず、展望施設として活用することが期待されているという。現庁舎は増改築を繰り返した結果、施設の容積率が現在の法定基準を超えている問題が指摘されている。しかし、建物の一部を撤去する「減築」でクリアする方法も採用し得るといい、村は慎重に検討を進める。