靴下メーカー、帽子に挑戦 少年野球の熱中症対策に
2022年08月18日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

熱中症対策をほどこした野球帽をかぶる昌和莫大小の井上克昭社長(左)ら=広陵町
広陵町の老舗靴下メーカー、昌和莫大小(しょうわめりやす)が、熱中症リスクを軽減する野球帽の開発に乗り出した。子供の運動能力の向上などを研究する日本薬科大大学院の多根井重晴教授と共同で企画。すでに試作品を少年野球チームに提供しており、使用感を評価してもらった上で、来夏の商品化を目指す。
開発は、今年6月からスタート。同社が多根井教授の呼びかけで少年野球で使う靴下の開発を進めていたが、少年野球チームの練習を見学して「熱中症対策の必要性を実感」。靴下と並行して、熱中症対策をほどこした野球帽の開発に取り組むことにした。
「いかに太陽光の熱を軽減できるかがポイント」(多根井教授)で、肌に触れるとひんやりと感じる接触冷感素材、UV(紫外線)カット加工、太陽光を反射しやすい白色に、といった工夫を重ねた。完成した試作品は橿原市の少年軟式野球チーム「畝傍ベースボールクラブ」に提供し、使い心地などを評価してもらうことになった。
同チームのコーチ代表、中西慎哉さんは、「夏場は選手が暑さで体調を崩すこともあり、熱中症予防のため、さまざまな工夫が必要だ」と話す。他チームの選手が試合中に熱中症で救急搬送されたケースもあったといい、「野球帽が少しでも熱中症予防につながれば」と期待する。
同社ではこれまでランナーやバスケットボール選手用の靴下などを開発してきた。帽子の製作は初めてだが「ランナーや登山家からの声を集め、アイデアを温めていた。靴下で培った素材開発や織物技術などを生かしたい」と井上社長。商品は大人用やランナー向けも計画中で、「選手らが気持ちよく快適にプレーできるよう地元企業として貢献したい」と語る。