古民家を地域の拠点に 大和郡山で近大院生がリノベーション
2022年09月14日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

長屋をリノベーションして完成した「ワタマチテラス」(左)=大和郡山市
大和郡山市にある古民家が、学校のサテライトオフィスやカフェとして使える「ワタマチテラス」に生まれ変わった。近畿大学の大学院生が、資金難を乗り越え技術も磨きながら半年かけて改修した。まちの活性化につながると期待されている。
古民家は同市綿町にある築100年の長屋。市のサポートで設立された「大和郡山まちづくり株式会社」によるプロジェクトの一環として、同大学建築・都市再生デザイン研究室の、勝本一誠さん(24)と藤田昌宏さん(23)がリノベーションに挑戦していた。
2人は「生かすものは生かそう」と、床板などの廃材と、ホームセンターで購入した資材を組み合わせて建具などに利用。しかし資金が尽き、5月中旬から6月末まで工事の中断に追い込まれた。
このため、インターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施。一方で、藤田さんは山口県の家具職人に弟子入りし、勝本さんは長野県で古民家カフェの店舗設計などに携わり、それぞれ技術や腕を磨いた。CFでは2カ月で246万円の支援金が集まり、工事を再開。完成にこぎつけた。
地域へのお披露目式で、勝本さんは「自分たちにとって長屋のリノベーションは大きな実験だった。多くの人に愛される拠点になれば」。藤田さんは「いろんな人とのつながりからようやく完成を迎えた。感慨深い」と語った。
「ワタマチテラス」は、奈良工業高等専門学校のサテライトオフィスやボランティア団体「code for 大和郡山」の拠点として利用されるほか、マルシェやカフェなど、さまざまなイベントでも活用される予定。