「里山の風景残す」耕作放棄地を再生 生駒市西菜畑町の稲葉好勝さん
鳥がさえずり、稲穂が垂れる自然豊かな生駒市西菜畑町。「子供たちが大人になって地元に帰ってきたときのため、里山の風景を残しておきたい」。同町の自治会長、稲葉好勝さん(79)は、地域住民らと共同菜園サークルを立ち上げ、耕作放棄地をよみがえらせる活動に取り組んでいる。
地区では住民の高齢化とともに、耕作放棄地が増加。そんな状況を憂い、3年前、稲葉さんは自治会長になると同時に、里山の風景を取り戻そうと決意。耕作地を再生する事業を始めた。地域の課題解決を図る自治会を支援する市の「複合型コミュニティづくり」にも採択された。
やせた土地でも生産しやすく収穫作業が簡単な大豆の栽培から始め、今では作付面積は約900平方㍍にまで広がる。今年から大阪樟蔭女子大学(大阪府東大阪市)の学生らも参加。畑づくり、種まきなどを稲葉さんたちが教えている。
さらに山林の間伐材を使用したシイタケ栽培も視野に入れ、地域の幼稚園児や保育園児たちに自然に触れてもらうイベントも行っている。
「昔、田植えのころはホタルの光で本が読めたほど」と振り返る。ホタルが飛び交う日本の原風景を取り戻そうと、これからも活動を続ける。
「自分で食べるものは自分たちで作る。昔は当たり前だったが今はぜいたくなことになった。安全な食を守るためにも、耕作放棄地を少しでも畑として復活させたい」