飛鳥宮跡で新たに建物跡 大型建物跡と関連か 橿原考古学研究所
2022年11月7日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
天武天皇(在位673~686年)が造営した飛鳥浄御原宮跡(明日香村)の外郭から7世紀後半の建物跡が見つかり、県立橿原考古学研究所が発表した。同宮跡を含む飛鳥宮跡で最大級の大型建物跡の南側に位置しており、付属的な施設の可能性があるという。橿考研は「飛鳥浄御原宮跡の様相を知るうえで重要な成果」としている。
橿考研は9月から、飛鳥浄御原宮跡の内郭北西部と外郭の一部の計約500平方㍍で調査を実施。内郭北端から約10㍍北側の地点で8基の柱穴が検出され、東西10㍍超、南北約6㍍の規模の建物跡が確認された。
平成21~22年の調査で見つかった大型建物跡(最大で東西35・4㍍、南北15㍍)から約25㍍南にあり、柱の位置が南北の同一線上にあることから、大型建物の付属的な施設だった可能性も考えられるという。
また、内郭北端を区切る掘立柱塀の跡とみられる9基の柱穴が東西方向に約20㍍にわたって出土。北側の塀の長さは148㍍に及び、内郭の北西隅付近までのびていることが判明した。
さらに、建物跡の南側から内郭北端の塀まで南北方向に長さ約7㍍の塀も確認した。出土した建物や塀の跡はいずれも柱を抜き取った痕跡があり、柱が別の場所に転用されていることをうかがわせる事例という。
調査を担当した橿考研の鈴木一議・指導研究員は「内郭北西部に隣接して計画的に建物が配置されていた空間が存在する可能性が高まった」と分析している。