平和の尊さ訴え 世界遺産と山頭火カレンダー製作 橿原の戸田さん
橿原市で創作活動を続ける画家、戸田勝さんが、各国の世界遺産の風景画と漂泊の俳人として名高い種田山頭火の自由律俳句の書画を楽しめる令和5年のカレンダーを完成させた。「平和の尊さ」をテーマに、風景画は水彩の優しい色使いで、書画は力強い筆致でそれぞれ描いている。
山口県防府市出身の戸田さんは、世界遺産をモチーフにした水彩画の制作を続ける一方、同郷の山頭火の句の魅力を作品で表現することをライフワークの一つにしている。
カレンダーは両面あり、世界遺産の面では、戸田さんがこれまで現地に足を運んで描いてきたイタリア・ローマやポーランド・ワルシャワの歴史地区などの風景画とともに、各地を旅した際の紀行文や自身が詠んだ自由律俳句を収録。国内では姫路城(兵庫県)を描き、戦のために整えられた城の機能美と、「不戦の城」と呼ばれた実際の歴史とのコントラストに触れた一文を寄せている。
山頭火の面では、「寒い雲がいそぐ」「濁れる水の流れつつ澄む」など、戸田さんが選んだ山頭火の句を書画で表現。俳句が詠まれた背景を記した解説文を添えた。酒を愛した山頭火に敬意を表し、筆の代わりに日本酒に浸した梅の枝を使い、酒で溶いた絵の具で仕上げたという。
「世界遺産も山頭火も、平和や争わない心を求める点で共通している。カレンダーを通じて平和の尊さを少しでも発信したい」と戸田さんは話している。
カレンダーはA4変形サイズ、32㌻。一冊2千円(送料別)。問い合わせは、アトリエ崇藝庵(すうげいあん)(0744・47・4623)か戸田さん(080・1922・7282)。