猿沢池、水質改善の実験成功 導水路設置へ
2023年01月10日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

猿沢池
猿沢池は流れ込む水の量が少ない上、水がとどまる時間が長いことなどから、水温が高くなり微生物の活動が活発になる夏場を中心に水が濁り、周囲の景観に悪影響を与えていた。
そこで県は、昨年秋の約2カ月間、約700㍍東にある奈良国立博物館の敷地にある井戸の水を猿沢池に引き込み、池の水を入れ替える実験を実施した。春日大社の一の鳥居付近に仮設のポンプと導水管を設置。1秒間に最大3㍑が流れ込むようにして、1週間ごとに池の4カ所で水質調査した。
その結果、水面から見通せる深さを表す「透視度」は、実験前の平均35㌢から実験終盤には同91㌢まで大幅に改善。1㍑当たりの有機物の量を示す指標で水の汚れを表す「COD」も、1㍑あたり18・5㍉㌘から7・8㍉㌘と半分以下になった。水質悪化につながるプランクトンの増殖をもたらす物質の値も、わずかに改善がみられた。