奈良高専生と下宿をマッチング 大和郡山リゾデールが始動
2023年02月2日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

「大和郡山ソリデール」について説明を受ける地元住民ら=大和郡山市
大和郡山市は令和5年度から、高齢者宅の空き部屋を国立奈良工業高等専門学校(同市)の学生向けの下宿にする「大和郡山ソリデール」を始める。県内では初めての取り組み。高齢者と学生らが互いに助け合う仕組みを目指す。
「ソリデール」はフランス語で「連帯の」を意味し、2004年にパリで始まった下宿サービス。日本では学生の多い京都府などが取り入れている。部屋を貸し出す高齢者にとっては孤独や日常生活の不便の解消、借りる学生側には家賃が低く抑えられることや、通学時間の短縮、他の人と暮らす経験などのメリットがあるという。
奈良高専は、学生1020人のうち通学に片道2時間以上かかる学生に寮を提供しているが、定員は約130人。関西圏以外からの入学が増えており、3~4年後に学生寮が定員超過になる見通しで、大和郡山ソリデールは新たな受け皿として期待される。
学生は18歳以上、受け入れ側は世帯構成員全員が歳以上で、要介護ではなく自立していることが条件。希望する学生は高専、高齢世帯は市に登録するとマッチングが行われ、1週間試験的に同居をした後に双方の合意を得てから本契約となる。
1月28日に開かれた説明会には、近隣の住民や学生など計約30人が参加。京都府でのソリデールの様子が紹介された後、市の担当者が事業について説明した。同山市出身で京都工芸繊維大(京都市左京区)の学生時代に2年間ソリデールを活用した会社員、岡本和哉さんは、「血縁でもなく友人でもない人と生活を共にした経験は大きな財産。就職活動などでも相談に乗ってもらった」と振り返った。
一方、地元・東城自治会の介護職、大橋康清さんは「同居は互いの信頼関係がないと成り立たない。実際にマッチングがうまくいくか、希望者がいるのかは分からないが、新鮮な取り組みだ」と興味を示す。
市は学生を受け入れる世帯に光熱費の一部として月5千~1万円程度を補助する。家賃は月1万~2万円程度。今年4月から希望者の登録が始まり、8月以降事業が本格的にスタートする予定。