CAから転身 「足の悩みに寄り添う商品を」 鈴木靴下・鈴木みどりさん
靴下の生産量日本一を誇る奈良県で、昭和33年から続く「鈴木靴下」(三宅町)の3代目跡取りとして日々商品のPRや開発に励む。「靴下一つで生活は変わる。靴下の良さを伝えたい」。航空会社で客室乗務員(CA)として勤務した経験を商品開発に生かしているという。
大学を卒業後、客室乗務員として東京の航空会社に就職したが、3年を経て仕事の目標を達成し、結婚したことを節目に退職、家業に就いた。「父が苦労して開発した商品を守り、広めていきたいという思いが強かった」と振り返る。
しかし、ビジネスの知識は全くなく、取引先が使う専門用語もわからない。それでも商談に同行しては手探りで基本を学んだ。靴下の魅力を伝える「靴下ソムリエ」の資格も取得。むくんだ足でも履きやすい「締め付けない靴下」を開発するなどして次第に自信もついた。
そんな中、取り組んだのが消臭効果のあるストッキングの開発だ。元になったのは自身のCAとしての経験。長時間のフライトでは、14~15時間にわたって同じ靴を履き続ける。どれだけ足のケアをしていても臭ってしまう。
靴下とは全く異なる製造方法だったが、父の商品開発に挑む姿勢をまねて試作やアンケートを繰り返し、約3年かけて販売に漕ぎつけた。消臭効果が高く吸汗性のあるストッキングに、現役のCAからは効果を実感する声が寄せられた。
今年7月には本社と工場の近くに直営店がオープンする。「全国で2番目に小さい町である三宅町から大手に挑戦していきたい」と意気込み、自ら店頭に立つ。