放置竹林から特産品を 合同会社VHC代表、津本雅章さん
放置竹林から特産品を|。明日香村や高取町の竹林で伐採した竹をもとに、ラーメンの具材となるメンマや土壌改良用の竹炭づくりに取り組んでいる。
きっかけは昨年2月に見たテレビ番組。中国などから輸入されるメンマに対抗しようと、地元の放置竹林を活用する福岡県糸島市の事例が紹介されていた。「明日香でもこの方法が使えるのではないか」
ふるさと納税返礼品の登録代行業務をしていたこともあり、新たな特産品を生み出せないかという思いは常にあった。一方で荒廃する竹林の姿も目にしてきた。日ごろ抱えてきた問題意識が一つに結び付いた。
そこからの行動は早かった。つてを頼って作業に協力してくれる人と場所を確保し、昨年4月からメンマづくりを始めた。「経験も何もない状況からの挑戦。昨年はタケノコ自体も不作で苦労が多かった」と振り返る。
メンマ製造には、タケノコから約2㍍近くに成長した「幼竹」を使う。雑菌が入るのを防ぐため、午前中に竹を採りその日のうちにメンマづくりに取りかかる。皮をむき、穂先と根元、中央部分の3つに切り分ける。やわらかい穂先は約30分、それ以外は1時間程度ゆで、2カ月以上塩漬けにして保存。その後、塩抜きをして加工し、完成となる。
4~5月は孟宗竹、6月以降は真竹が旬。手間暇をかけた作業が続く。昨年のメンマ生産量は250㌔。今年は倍近くの2㌧が目標だ。
昨年の冬からは枯れた竹で竹炭づくりに乗り出した。農地に竹炭を使うと、微生物の力で土壌を酸性からアルカリ性に変え、荒廃を防ぐ効果があるという。
「メンマや竹炭を売り出すには、安定した供給量を確保することが大前提。名物として定着すれば、竹林整備が進むだけでなく、作業に携わることでリタイアした人の働き場所の確保にもつながる」。竹林整備とメンマづくりを両立させる取り組みに、確かな手応えを感じている。