乗り合い交通AIで調整 天理市で10月から実証実験
2023年07月12日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
天理市と奈良トヨタグループは10月から、人工知能(AI)を使って運行を調整する乗り合い公共交通サービスの実証実験に取り組む。主に、鉄道やバスなどの既存の交通網が十分に行き届いていない地域での利用を見込んでいる。11月までの2カ月で問題点を洗い出し、来年4月から本格導入したい考えだ。
同市の鉄道が通らない地域ではコミュニティーバスなどを活用している。ただ、1日4便程度と限られており「必要なときに乗れない」といった声があがっていた。
実証実験では10人乗りバンを4台用意。トヨタグループの自動車部品メーカーのアイシンが開発したシステム「チョイソコ」を活用する。利用者が電話やネットで予約すると、AIが利用者の最適な組み合わせと経路を設定し、送迎する。
愛知県豊明市、長崎県五島市など約50の自治体で導入されているという。奈良県内では初の試みとなる。
天理市と奈良トヨタグループは「移動支援による地域活性化に関する連携協定」を締結。実験の検証には奈良近鉄タクシー、学識経験者なども加わる。
奈良トヨタグループの菊池攻社長は「高齢化が進む中、免許返納後の高齢者の交通支援は急務。新たなサービスで地域社会に貢献したい」と話した。