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走る子供食堂、秋にスタート 奈良クラブ・浅川選手


移動式子供食堂を始める奈良クラブの浅川隼人選手(右から2人目)と妻の菜生さん(同3人目)ら=田原本町


 サッカーJ3「奈良クラブ」のエースストライカー、浅川隼人選手(28)が今秋、移動式子供食堂の運営を始める。調理台や冷蔵庫などを備えたキッチントレーラーで県内各地を回る。「食事やふれあいを通して地域の子供たちに夢を持ってもらいたい」といい、サッカー教室なども併せて開催する予定だ。
 本格始動を前に、23日に田原本町の安養寺で開いたキッチントレーラーのお披露目会では、アスリートフードマイスターの資格を持つ浅川選手の妻、菜生さん(28)が栄養バランスを考慮しながら作った弁当8世帯分を用意。集まった子供たちは浅川選手から弁当を受け取ると笑顔を浮かべた。
 子供たちは浅川選手とおしゃべりをしながら食事を楽しみ、口々に「おいしい」。浅川選手は「こちらも元気になる」と語った。
 きっかけは、4年前にフィリピン・セブ島で開いたボランティアサッカー教室だ。貧困にあえぐ子供たちは、多くは将来の夢を語る余裕がなかった。これはフィリピンに限った話ではない。令和元年に内閣府が発表した調査では日本における子供の貧困率は「7人に1人」に上る。
 そうした中で、安養寺を拠点にお供え物を一人親家庭におすそわけするNPO法人「おてらおやつクラブ」の活動を知った。「自分にも何かできないか」と考えたときに、キッチントレーラーで子供食堂を開くことを思いついた。
 今年6月からクラウドファンディングで資金を募り、キッチントレーラーを購入。食事を受け取る子供たちと目線が合うようにカウンターは低めに設置した。カセットコンロを置けば、温かな食事を提供することも可能だ。キッチントレーラーで9月から12月までスタジアムをはじめ県内各地を巡り、移動式子供食堂を8回開く。
 おてらおやつクラブは、浅川選手に生活が苦しい一人親家庭を紹介するなどして、活動をサポートする。同クラブスタッフの上村康弘さんは「子供のときの外食体験は心に残る特別なもの。浅川選手の取り組みはさまざまな地域の子供たちの笑顔につながる」と期待する。
 浅川選手は寄付を募るなどして活動資金を集めるといい、「多くの人の応援が活動の支えとなる。県内各地の子供たちの笑顔に会いに行きたい」と話した。

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