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「米国を安保に巻き込め」奈良「正論」懇話会詳報 河野克俊氏講演


 奈良市の奈良ホテルで1月15日に開かれた奈良「正論」懇話会。講師を務めた自衛隊元統合幕僚長、河野克俊氏は「今後の日本の安全保障と課題」と題して講演し、「『巻き込まれ論』に基づく日米安保反対は〝今は昔〟。日米安保から逃げようとする米国を巻き込まないといけない」と訴えた。講演の主な内容は次の通り。
 今、世界に3つの「ホットスポット」がある。ウクライナと中東、台湾。これらを個別に考えると見方を誤る。この3つはすべて関連している。
 ウクライナでは、攻め込んだロシアが成果を挙げられず長期化して不利な状況だったはずが、昨年10月にハマスがイスラエルにロケット弾を撃ち込んだのを機に「長期化すればするほど露に有利な状況」に逆転してしまった。
 ウクライナは欧米、NATO(北大西洋条約機構)の軍事援助が頼り。だが、ハマスの攻撃で米国はイスラエルへの軍事援助も必要となり、ウクライナ分は目減りする。ハマスの背後にはイランが控え、露とイランは通じ合っている。露にとってこの好ましい状況は「ハマスと連携している」と考えた方が自然だ。
 一方、中国にとってウクライナや中東に米国の目が向くことは、台湾への集中力を減らせるので好都合。現在の国際秩序を是とする欧米や日本、豪州などのグループと、こうした国際事情を変更したい中国や露、イランなどのグループの対立構造が、ハマスの一件で明確になってきた。
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 今回のウクライナ戦争によって、世界の安全保障に大きな影響を与えた点が2つある。
 1つは、NPT(核不拡散条約)体制の大前提が崩れたこと。「核保有国は〝分別のある大人〟であるから非保有国は安心してほしい」という理屈で世界を律してきたのに、核保有国の露が非保有国のウクライナを脅し上げているのだ。NPT体制が意味をなさなくなりつつある。
 もう1つは、「軍事的に動かない米国」を世界が目の当たりにしてしまったこと。バイデン米大統領は早々に「軍事介入しない」と明言し、その理由を「まかり間違えば核戦争に進展する恐れがある」とした。米国の「核の傘」に百パーセント依存する日本で、その信頼感が揺らいで当然。核抑止について、国家のリーダーがタブーを恐れず議論を提起すべきだ。韓国ではその議論が起こっている。
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 台湾総統選で、中国に屈服しない与党・民進党の頼清徳副総統が勝った。中国と話し合う姿勢を示していた国民党側の勝利なら中国は政治的に併合を進める手段を考えただろうが、今回の結果を受けて軍事的手段を濃厚に打ち出す踏ん切りをつけたのではないか。
 「台湾問題こそ米中対立の『天王山』」とする向きがあるが、私はむしろ「入り口」だと考える。習近平氏が思い描く台湾併合の理想的なパターンは、台湾に傀儡政権を打ち立てて米国が介入する隙を与えず一気呵成に進めるというやり方だろう。
 台湾併合の際、中国は尖閣諸島(沖縄県)に手を出さない。曲がりなりにも米国が「日米安保条約の適用範囲」としているからだ。中国は「無人島の尖閣など熟柿のごとくいずれ落とせる」と考えている。
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 今後の日本の安全保障を考える上で注意しなければいけないのは、米国の変化だ。米国はもともと「モンロー主義」(欧米両大陸の相互不干渉)、「アメリカ・ファースト」の国。だが第二次大戦に勝利し、米ソ冷戦に突入したため、好むと好まざるにかかわらず西側のリーダーになってしまったが、日米安保条約はそんな特別な時期に成立したのだ。米国は今、〝本来〟の姿に戻りつつある。
 「米国がやられても何もしませんが、日本がやられたら助けてくださいね」という片務的な条約は、米国が許してくれない時代に入っている。
 かといって、「日米同盟を廃止して核武装を含めた自主防衛を進める」という主張も、「日米同盟を廃止して非武装中立の立場を取る」という主張も、どちらも賛同を得られない。つまり、米国を抜きにした日本の安全保障は成り立たないということだ。
 かつて日米安保条約に反対する人たちは「巻き込まれ論」を掲げ、「米国の戦争に巻き込まれる」と訴えたが、これからは発想の転換が必要だ。片務的な条約から逃げようとする米国を日本の安全保障に巻き込まないといけない。

奈良「正論」懇話会の講演会で、「今後の日本の安全保障と課題」と題して話す河野氏

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