ドローンとAIで効率化 橋梁点検の新技術を披露
奈良国道事務所と近畿道路メンテナンスセンター、奈良市は、ドローンを活用した橋梁点検の新技術のデモンストレーションを同市佐紀町の平城大橋で行った。衝突回避センサーを備えたドローンにロボットカメラを搭載し、撮影した画像を人工知能(AI)が解析してひび割れなどを見つける。狭い場所の点検も容易で、マンパワーに頼った従来の点検と比べ、約4割のコストカットにつながるという。
ドローンは上下に3個ずつ計6個の障害物検知用カメラを備え、AIで障害物を回避しながら撮影を行う。障害物との距離は通常1㍍だが、設定変更で50㌢まで近寄れる。機首に角度を変えられる高解像度のカメラを搭載し、機体下側にカメラを持つ従来機種では不可能だった上方向の撮影が可能で、橋梁の下側の点検もできる。
撮影した画像は富士フイルムの画像診断サービス「ひびみっけ」が自動で合成し、AIが幅0・1㍉の微細なひびも検出する。ひびの長さや深さといった数字のデータも提示できる。
従来の橋梁点検は特殊な車両を持ち込み、人の目で異常の有無を確認し、現場環境によっては通行規制をかける必要があった。AIとドローンによる自動化と省力化でコストが大幅に縮減し、交通規制の必要もなくなるという。
デモには国道事務所や奈良市職員ら約40人が参加。ドローンが狭い場所に入り込んだり、連続撮影した画像をひびみっけが1枚の画像に合成して診断したりする作業を見守った。出席した仲川げん市長は「橋梁は修繕や維持でコストや労力がかかる。現場に取り入れていきたい」と述べた。