高田愛が後押し? 雑誌スポンサー制度好スタート 県内図書館では差も
企業や団体が、公立図書館の雑誌の年間購入費を負担するかわりに、雑誌の最新号に広告を掲示できる「雑誌スポンサー制度」。今年4月に導入した大和高田市立図書館は、半年で31社・団体が計32誌のスポンサーになる成果が出ている。その背景には、市内の事業者らの大和高田を元気にしたいという熱い思いがあるという。(山本岳夫)
費用は節減し、雑誌を充実
雑誌スポンサー制度は、自治体の財政が厳しい中、公立図書館の図書資料購入費を節減する一方で、雑誌の充実を図る目的で、全国的に導入されている制度。企業や団体が公立図書館の雑誌スポンサーになって、雑誌の年間購入費を負担、公立図書館ではスポンサーが購入費を負担している雑誌にスポンサーの広告を掲示する。
県内でも県立図書情報館と、市では12市のうち7市の図書館が導入。大和高田市立図書館も今年4月になって、雑誌スポンサー制度を始めた。
同図書館の予算の中で、図書や雑誌の購入にあてられる費用は年間約400万円で、このうち雑誌の購入費は50万円程度という。
4月の就任後、すぐに制度を導入した秋丸素子館長は「どの自治体も財政は厳しく、図書館の雑誌購入費は限られているので、スポンサーを募って、何とかより多くの雑誌を図書館に入れたい」と説明する。
効果的な広告
大和高田市立図書館の雑誌コーナーのラックに、ディスプレーするように並べられた雑誌の最新号。かけられたビニール製のカバーには、社名や電話番号、マークなどが入った縦8センチ、横14センチまでの大きさの広告が貼られている。
スポンサーが負担する年間雑誌購入費は1誌あたり7千円程度。スポンサーになると、雑誌のカバーに1年間、広告を掲示することができ、「広告料としては安いのでは」という。
広告をより効果的にするため、雑誌の選択も重要。スポーツ店は野球の雑誌、ガス販売会社は環境にこだわったライフスタイルの雑誌など、図書館側が雑誌の候補を提示し、その中からスポンサーが選んだものも多いという。
「スポンサーになっていただける企業や団体のイメージアップになる雑誌を探す。雑誌コーナーは多くの来館者が利用されるので、スポンサーが地元の大和高田市のために寄贈しているという良いイメージになる」と秋丸館長は期待する。
高田への熱い思い
大和高田市立図書館では今年10月1日現在、31の企業・団体が計32誌の雑誌のスポンサーになっている。
図書館のふところ具合によって、雑誌スポンサー制度への依存度が違うことも考えられる。ただ、県内の他の公立図書館をみると、導入2年で8社2人が計34誌、導入1年半で26社・団体が計29誌という図書館はあるものの、制度導入5年で10社・団体が計16誌、導入3年で5社が計9誌、導入1年で1社が1誌などと、伸び悩んでいる図書館もある。
大和高田市立図書館の秋丸館長は「ここの図書館では、スポンサーになっていただいた企業や団体の方が、新たなスポンサーを紹介してくれたりして、1誌ずつ増えてきた」とスポンサー増加の特徴を説明する。
市内の寿司店「まるみ」は県内の情報誌2誌のスポンサー。「店の広告になることもあるけど、図書館の雑誌が増えて、来館者が憩える場所になることに協力したいと思った」と店長の堀裕明さん(46)は話す。
こうした人たちに、秋丸館長は「大和高田を何とかしたいという熱い気持ちを持った方ばかり。図書館を良くしたいと思って話しをすると、高田のために一緒にやろうと、受け止めてくれる。31の会社や団体が純粋に図書館を応援してくださっていると思うと、本当にありがたい」と感謝している。
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