大和三名園「香藕園」大規模修復へ、CFで支援募る 当麻寺
葛城市の当麻寺中之坊は、国指定史跡・名勝の庭園「香藕園(こうぐうえん)」の大規模な修復を行うため、インターネットで資金調達するクラウドファンディング(CF)で費用の一部を募る。8日から5月7日まで、近鉄グループのアド近鉄のCFサイト「エールレール」で募集する。
庭園は桃山時代に造られ、江戸時代初期に後西院(後西天皇)の行幸に際し、第4代将軍・徳川家綱の茶道指南役で茶道石州流の祖・片桐石州が改修し、今の姿になったと伝わる。
歩いて鑑賞する回遊式庭園で、池は「ハスが香る庭園」を意味する名前の通りハスやスイレンが咲き、国宝の三重塔「東塔」を借景としている。その美しい眺めから大和三名園の一つに挙げられ、昭和9年に国の史跡・名勝に指定された。
ただ、近年は経年劣化が進行。池の底のひび割れで水漏れがひどくなり、ポンプで注水しなければならなくなった上、この漏水の影響で地盤が緩んで土塀が傾斜し、ひび割れが発生した。石組みも整備が必要で、令和6年度から5年をかけて修復することになった。
総事業費は6150万円の見込み。初年度は1400万円だが、国、県、市の補助を充てても6割が寺の負担になる見込み。このためCFで広く支援を求めることになった。寄付額は1万~20万円。目標額は700万円で、達成しても期間終了まで募集を続ける。返礼品は支援者の名前の奉納、特別な御朱印、1年間毎月の先祖供養などがある。
松村實昭貫主は「後世に伝えていくために、みなさんのお力をお借りしたい」と話している。