古楽アンサンブル「アウル」が奈良ホテルで50周年記念演奏会 自作楽器などで旋律奏でる
ヨーロッパの古い時代の音楽を奏でる奈良市のグループ「アウル古楽アンサンブル」の創立50周年記念演奏会が、同市の奈良ホテル・聖ラファエル教会で開かれた。「こんな音楽集団が奈良に1つくらいあってもいい」と活動を続けてきた創設者の池口秀樹さん(80)。今後も自分たちのペースで楽しむという。
大阪音大を卒業し、中学の音楽教諭となった池口さんが結成したリコーダーアンサンブルがその原点。メンバーらが仕事を終えた夜に集まるスタイルから、フクロウを意味する英語「アウル」がいつしかグループ名になったそうだ。
「バロック以前の西洋音楽はおおらかで短い楽曲が多く、演奏が楽しい」。池口さんは魅力をこう語る。当時と同様の楽器を探したり、時には自作したり。古楽器のコレクションは100点以上にのぼる。
現在は池口さんと、妻でピアニストの由紀子さん(78)のほか、声楽家や博物館学芸員といった面々6人がメンバー。リタイア組が増えたため夜に集まることはなくなったが、週1回昼間に池口さん方で練習し、定期演奏会を年1回開催。依頼を受けて各地へ演奏に出かけることもある。
「実は、正確に50周年というわけではないんですが…」。昨年、自宅内を整理していた際、昭和45年に開いた演奏会のプログラムが見つかり、「今では結成の年月日は定かでないけれど、『50年やってきた』と言っていいよね」と、今回の定演を「50周年記念」と銘打った。
2月25日に開かれた記念演奏会は、急遽座席を増設しても入れない人が出るほどの盛況ぶり。自作したチェンバロやゲムスホルン、トロンバマリーナなどを含む珍しい古楽器を多数駆使し、オペラの原型とも称される「オルフェオ」をはじめ、イタリアの中世・ルネサンス期などの楽曲を中心に披露した。
「こんなに大勢の方が聴きに来てくれるとは」と池口さん。「もう無理のきかない年齢なので今後はぼちぼちと…」と言いつつ、新たな古楽器作りを始めている。