「外国人無料」を見直し 県立美術館など4月1日から
奈良県の山下真知事は8日、外国人観光客を無料としている県立美術館(奈良市)などの施設の観覧料や入館料について、4月1日から見直すと明らかにした。
ほかに見直すのは、県立民俗博物館(大和郡山市)、県立万葉文化館(明日香村)、県立橿原考古学研究所付属博物館(橿原市)の入館料など。さらに、同様の例がないか点検するとしている。
県立美術館では、無料制度は外国人観光客の誘客促進を目的に、前知事時代の平成20年から常設展で始まり、26年からは特別展も対象に加わった。常設展示の観覧料は一般個人400円▷大学・高校生250円▷中・小学生が150円。外国人観光客はパスポートを提示すれば、これらの観覧料が無料となる。
県によると、新型コロナウイルス禍前まで県内を訪れる外国人観光客数は右肩上がりにあり、令和元年は約349万5千人で平成24年(約28万5千人)の10倍以上に。県立美術館も外国人観光客が来館者の約1割を占めた。ただ、交流サイト(SNS)では「日本人差別では」「普通は県民を無料にするところではないか」などと批判の声が上がっていた。
記者会見で山下氏は、制度について報道で8日に知ったとし、「美術館や博物館が無料だから(外国人観光客が)奈良に行くということにはならないと思う」と指摘。「合理性がなく、政策目的と制度が合致していない」と述べた。