土偶「めっちゃオシャレやろ」 橿原市博物館が 出土遺物を楽しく紹介
奈良県橿原市川西町の歴史に憩う橿原市博物館で、地元の高校生と連携した企画展「ここみてや!」が開かれている。縄文から飛鳥時代の土器や石器、埴輪など約40点とともに、関西弁のキャッチコピーがいたるところに掲げられた異色の展示で、イヤリングを装着した縄文の土偶には「めっちゃオシャレやろ」との言葉も。担当者は「普段は『もの言わぬ考古遺物』の自己アピールを言葉にしたので、ぜひ耳を傾けて」と展示の意図を語る。
同館は、県立橿原高校と連携して平成28年度から企画展を開催。今回は、同校考古学研究部長の2年生、麻生彩斗さん(16)が参加し、同市文化財保存活用課の松井一晃・課長補佐とキャッチコピーなどを練り上げた。
飛鳥時代の木簡は、文字を書き直す際に刀子と呼ばれるナイフで表面を削ったとされ、会場では木簡と刀子を展示。さらに「消しゴムだぜ。ワイルドだろ」と麻生さんが考案したフレーズを添えた。消しゴムがなかった時代に、ナイフで文字を削ったところを「ワイルド」と表現した。
古墳時代の須恵器の展示コーナーでは、「おみず じわっともれたヨー」との言葉とともに紹介。高温で焼き上げた須恵器は堅固な土器のイメージがあるが、水をためると少しずつもれることを知ってもらいたかったという。
また、飛鳥時代の尿瓶も展示。一般的な須恵器の形に見えるが、土器の内側に尿に含まれるカルシウムの有無によって尿瓶かどうか判別できるという。尿瓶を知らない若い世代もいることから、現代の尿瓶も並べて置いた。
麻生さんは「展示品に添える言葉を考えるのに苦労したが楽しかった。博物館には紹介したい遺物がたくさんあり、展示しきれなかったのが少し残念」。松井さんは「高校生からみた土器や石器への素直な疑問に答えられるよう、楽しい企画になった」と話した。
6月16日までで月曜休館(祝日の場合は翌日)。問い合わせは同館(0744・27・9681)。