デゴイチが王寺町文化財に 昭和19年製造の895号機、舟戸児童公園で保存
2024年05月24日 産経新聞奈良支局 最新ニュース
奈良県王寺町は舟戸児童公園(同町舟戸)で保存されているD51形蒸気機関車(デゴイチ)895号機を町指定文化財に指定した。町によると、県内で保存されている蒸気機関車が文化財指定を受けたのは初めてという。
昭和19年5月に製造されたD51形の895番目の車両で、旧国鉄が広島県、山口県、京都府などの区間で使用。46年4月から廃車となる47年11月にかけて奈良運転所で扱われ、関西本線を走行した。
トンネル内で煙が運転席に入り込まないよう後方に排出する「集煙装置」や、燃料を燃やす火室に重油を噴射して効率よく燃焼させる「重油併燃装置」を備え、険しい難所越えでの運転士らの負担を軽減したとされる。両装置は保存の際に取り外されることが多い中、895号機は関西本線を走行したときのまま良好な状態で保存されている。
明治23年12月に県内初の鉄道が王寺~奈良間で開通して以降、王寺町は主要な鉄道路線が結節する「鉄道のまち」として発展してきた。町は「令和8年2月11日の町制100年を見据え、保存と活用を図る」としている。