全国唯一の「空白」地域・奈良県が陸自駐屯地の設置を要望 防衛相に4年ぶり
奈良県の山下真知事は19日の定例記者会見で、陸上自衛隊駐屯地の県内設置を求める要望書を木原稔防衛相に提出したと明らかにした。要望は令和2年以来、約4年ぶり。山下氏は「南海トラフ巨大地震の発生が危惧される中、災害時などに迅速に部隊を展開していただける点でメリットがある。県民の安全安心につながる」と意義を述べた。
奈良県は全国47都道府県で唯一、陸上自衛隊の駐屯地がない。このため、京都府の大久保駐屯地が奈良県への災害派遣を担当している。
陸自駐屯地の誘致を巡っては、前知事の荒井正吾氏が平成19年から国に要望してきた。荒井氏は30年、誘致候補地だった五條市の土地に大規模広域防災拠点を整備する計画を発表、令和2年以降は要望を中断していた。
一方、昨年5月に就任した山下氏は、荒井氏の計画を大幅縮小し、ヘリポートと備蓄倉庫、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)などを備えた拠点へと変更。規模やあり方を巡って有識者会議や県議会で議論が続いている。
要望書は、山下氏と県議会の岩田国夫議長、五條市の平岡清司市長の計3部を、岩田議長が6月14日にまとめて木原防衛相に提出。山下氏は理由について、防衛費の増額が国で決まり、県内配置の可能性が出てきたことや、県議会から強い要望があったことを挙げ、具体的な候補地は「防衛省で決めることで、特段示していない」とした。
山下氏は、五條市での防災拠点の計画は「粛々と進める」としつつ、仮に防衛省が五條市の拠点を選んだ場合は「計画を修正することもありうる」との認識を示した。