奈良伊賀地域で産経新聞の購読試読・求人案内。

産経新聞 奈良県伊賀地区専売会産経新聞 奈良県伊賀地区専売会

産経新聞グループ各紙のご購読はこちら 0742-24-2214

専売会について専売会について各専売店の紹介各専売店の紹介地域貢献地域貢献求人内容求人内容購読・試読サービス購読・試読サービス

sanbai-02.jpg

変容する米国、前例なき大統領選 奈良「正論」懇話会の簑原俊洋氏講演詳報


 近づく米大統領選をテーマに、奈良市の奈良ホテルで7月22日に開かれた奈良「正論」懇話会の講演会。講師の認定NPO法人インド太平洋問題研究所理事長の簑原俊洋・神戸大大学院法学研究科教授は、「リマッチの行方は?~2024年米大統領選とアメリカの現状」と演題を設定していたが、開催当日朝に飛び込んできた「バイデン大統領の選挙戦撤退表明」のニュースを受けて急遽さらなる情報の収集と分析を進め、最新の知見を参加者に提供した。講演の主な内容は次の通り。

米大統領選の流れを大きく変える重大なニュースが今朝(7月22日)届き、演題に掲げたバイデン大統領とトランプ前大統領の「リマッチ」ではなくなってしまった。今回はつくづく、「前例なき大統領選」だ。
まず、6月のテレビ討論会。9月頃から3回にわたり、聴衆を入れて超党派の委員会が主催するのが通例だが、今回はテレビ局主催の無聴衆で行われた。バイデン氏は目の焦点が定まらず、虚偽を並べ立てるトランプ氏に有効な反論もできず、彼自身、自分が何を言っているか分からなくなっているようだった。
この討論会でバイデン氏がすべきことは「あと4年間、大統領を全うできる」というアピールだったが、それができず退陣論を勢いづかせてしまった。
次いで、7月のトランプ氏暗殺未遂事件。これも選挙の行方を大きく変えた。トランプ氏自身は宗教に無関心だが大いに利用した。大統領候補受諾演説でも「私は神によって守られた」と強調。これでトランプ陣営に弾みがつき、民主党側に勝利の可能性があるとすれば、バイデン氏が亡くなるか辞退するかしかないと私は思っていたが、辞退となった。
相手がバイデン氏なら間違いなく勝てると思っていたトランプ陣営が、次の候補と想定したのはハリス副大統領(※今月6日に民主党が正式指名)。彼らが最も嫌がっていた展開だ。
もしハリス氏が勝利すれば米国で初めて、女性でアジア系の大統領。民主党らしい、米国の「前進」を象徴する結果となる。

 米国を「実験国家」と表現したのは仏政治思想家のトクヴィルだった。彼は1835年に発表した「アメリカのデモクラシー」で、「米国の偉大さの根源は他国よりも啓蒙されているからではなく、自らの決定を修正できることだ」と同国の「復元力」を評価した。だが今の米国は復元力が脆弱で、「実験」が続くか否かの瀬戸際を迎えている。
選挙を巡って有権者が問いかけるのは「4年前と比べて生活が向上しているか否か」だ。これについて多くの人が「NO」だと思っている。いくら賃金が上がってもインフレがそれを超え、経済成長が実感できていない。
ハリス氏が戦う上で乗り越えなければならないのはジェンダーと人種の問題。現実的には「女性だから投票しない」「黒人とインド人のハーフには入れない」という有権者は米国にたくさんいる。
一方、トランプ氏は8年前の選挙で、それまで全く投票に参加しなかった有権者を目覚めさせた。また、何が何でもトランプ氏を支持する「MAGA」と呼ばれる熱狂的支持基盤も、トランプ氏の大きな強みだ。
日本との大きな違いに、若い人たちの政治力が挙げられる。大統領選では、有権者の大きな部分を占める40代以下の投票がカギを握る。投票率にもぜひ注目してもらいたい。

もしトランプ氏が勝った場合、どうなるか。ここで「もし民主党が勝ったら」を考えないのは、基本的にはバイデン氏の政策が継続されるからだ。トランプ氏の場合は1期目の政権に戻るのではないという点を強調したい。次期政権ではイエスマンしか起用せず、自身に対する「忠誠心」を最重要視する。目指すのは大統領権限の大幅強化に三権分立の弱体化、不法移民の国外追放、性的マイノリティーの権利剝奪…。米国のデモクラシーはどうなっていくのか。
ただ、誰が大統領になろうと、アメリカという国家自体が変容しているということを知ってほしい。日本はそんな米国とどう付き合うべきか、中長期的な視点で考える必要がある。その一つの答えが、EUや豪州など価値観を共有する国々とスクラムを組むことだ。内向きな姿勢を強めていく米国の関心を各国がワンチームになって引き付け、つなぎ止めることが重要だ。

簑原俊洋(みのはら・としひろ) 昭和46年、米国出身。カリフォルニア大デイビス校を卒業後、銀行勤務を経て平成6年、神戸大大学院法学研究科に進学し、ハーバード大やオックスフォード大の客員研究員や客員教授などを歴任。19年に同大学院教授。31年4月にインド太平洋問題研究所を設立して理事長を務め、当該地域の安定・繁栄に貢献するための諸活動にも力を入れている。

求人情報求人情報
購読・試読のお申込み購読・試読のお申込み
お問い合わせお問い合わせ

産経新聞各紙
産経新聞産経新聞
サンスポサンスポ
Business iBusiness i
夕刊フジ夕刊フジ

グループ各紙
月刊TVnavi月刊TVnavi
MOSTLYMOSTLY
正論正論
週刊ギャロップ週刊ギャロップ

読もうよ新聞読もうよ新聞

野球教室
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。