「新素材のトップランナー目指す」 大和高田の牧村プラスチック工業が和歌山に新工場
奈良県大和高田市のプラスチック部品メーカー「牧村プラスチック工業」が和歌山県岩出市に新工場を建設し、本格稼働を始めた。製造しているのは100%天然由来の生分解性プラスチック素材で、これを原料にした商品開発や他メーカーへの素材供給を進めていく考え。同社は「地球の環境保全に貢献できる新素材製造のトップランナーを目指す」としている。
主に生物資源が原料の生分解性プラスチックは、最終的に二酸化炭素と水に分解され、自然界で循環可能な素材。従来のプラスチックと異なり、焼却しても二酸化炭素排出量の増減に影響せず、有害物質も発生しない。
同社が和歌山工場で製造を始めたのは、日本ぺパロン社が特許を持つ生分解性プラ素材「ぺパレット」。トウモロコシから作られるポリ乳酸と古紙、天然由来の添加剤を原料とし、強度や耐熱性などで従来のプラスチックより優れた性質を備える。独自の製造プラントで大量生産を可能にし、工夫を重ねて工程の短縮やコストの削減に成功した。
同工場は環境省の補助事業を活用し、約億円を投資して京奈和自動車道・岩出根来インターチェンジ付近に整備。昨年月に操業を開始した。年間1500㌧の製造能力を持ち、今後はラインを増設して年3千㌧に引き上げる計画だ。
同社は現在、大和高田市内の工場でプラスチック素材の車載部品や家電部品などを製造している。さらに、和歌山工場でぺパレットの製造を始めたため、新素材活用の第1弾として高級ハンガーを商品化。これに続く商品開発も進め、将来は自社製部品を全量、生分解性プラ素材に置き換えたい考えだ。
「従来のプラスチックに対する規制は今後ますます強まる。環境負荷の小さな新しいプラスチックの可能性を国内外に発信し、資源循環型社会の構築に貢献する」と牧村恵史社長。「課題の一つは、従来素材の3倍程度高い価格。他メーカーへの供給に力を入れ、普及を図って安価な素材にしたい」と話している。