山下真知事・新春インタビュー 「種まいた施策の進展を」産業振興や子育て教育支援
物価高が長引く状況下で幕を開けた令和7年。県民の暮らし向上や産業振興、防災対策などさまざまな課題がある中で、今年で1期目の折り返しを迎える山下真知事に新年の展望を聞いた。(聞き手 岩口利一)
--今年特に取り組みたいことは
「就任1年目は前知事のやろうとしていた大型プロジェクトの見直しと代替案の提示、2年目は公約に掲げた子育て支援や教育、産業振興などの施策の種をまいた。7年度以降はそれらが成長するよう水や肥料をやる。これまでやってきたことを着実に進展させたい」
--具体的にはどのようなことか
「7年度以降本格化するのは不妊治療の助成と中学校部活動の地域移行。8年度には教員による休日の部活動の指導を廃止するので、これに向けた取り組みを加速する。また、五條市での防災拠点や橿原市での新アリーナや新駅の整備などを進めていく。こうした活性化のための産業振興や子育て・教育の支援の取り組みを進める」
--過疎化が進む県南部の活性化については
「自然が豊かなので、アウトドアスポーツを観光振興につなげたい。トレッキングやサイクリング、カヤックのルートを設定するとともにPRしたい」
--中南部へのインバウンド(訪日客)の誘致はどうか
「『飛鳥・藤原の宮都』が世界遺産に登録されれば国内外から人が訪れるだろうから、受け入れ態勢を整える取り組みを進め、飛鳥・藤原の観光地としての魅力向上も図る。ホテル誘致も引き続き進めていく」
--中南部での農業振興は
「田畑がたくさんあるが、担い手がどんどん減っているので、農業への企業の参入促進を図りたい。農業以外では京奈和自動車道の御所IC付近に工業団地を造成し、企業誘致を進めていきたい」
--南海トラフ巨大地震、奈良盆地東縁断層帯地震に備え、県として取り組むべきことは
「能登半島地震の被災地がそうだったように、奈良県も県外からのルートが少ない。道路が寸断された場合にどうするのか、電気や通信網が寸断されたらどうするのか…。そうしたことが大きな課題。県庁内の防災部局の体制が十分ではないので拡充も課題になる。南海トラフが起きたときに全国からの応援を受け入れる体制の整備もいる」
--関西広域連合でさらに取り組むことはあるか
「7年度から広域連携による行財政改革に取り組む。奈良県がその担当県となったので、各府県単独よりも連携した方がより効率的、効果的にできる事務がないか調査し、旗振り役となって進めたい」
--奈良が誇る社寺などの文化財をいかに守り伝えるかビジョンはあるか
「文化財を維持するにはすごくお金がかかり、息の長い取り組みが求められる。修復に携わる人材の確保も重要だ。そうした文化財を守ることの大変さを県民にいかに理解してもらうかが大切な課題だと思う」