神楽殿焼失を教訓に 橿原神宮で消防訓練
2025年02月5日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

外拝殿の前で一斉放水が行われた消防訓練=橿原市
橿原神宮(橿原市久米町)の国重要文化財だった神楽殿が平成5年2月4日に失火で全焼したことを教訓に、同神宮と橿原消防署などの合同消防訓練が4日、境内で行われた。火災から30年以上経過し、当時を知る職員は少なくなったといい、参加者らは訓練を通じて防火へ気を引き締めていた。 訓練は、外拝殿から出火したとの想定で行われ、職員や消防署員ら約80が参加。巫女(みこ)や職員たちが消火器や放水銃で初期消火の訓練をし、消防車から一斉放水が行われた。
平成5年の火災では、境内で燃やした枯れ枝の火の粉が神楽殿の檜皮(ひわだ)葺きの屋根に飛び火して全焼したという。焼失前の神楽殿は、江戸時代末の安政2(1855)年に京都御所に建てられ、明治年の橿原神宮創建に合わせて明治天皇の意向で移築されていた。
焼失した神楽殿は平成8年に再建され、神楽殿や拝殿の周囲に放水銃を設置するなど防火対策を強化した。当時の火災を知る上田宗弘権宮司は「神宮にとって2月4日は忘れてはいけない日。訓練を機に防火意識を高め、いざというときにも適切に行動できるよう努めたい」と話した。