山添分校廃止へ 野村村長「断腸の思い」 令和8年度新入生募集中止に
山添村にある県立山辺高校山添分校(4年制の昼間定時制)を巡り、野村栄作村長は4日の村議会定例会本会議で、令和8年度以降の新入生募集を中止し、今春入学する1年生が卒業する11年3月で閉校する方針を示した。厳しい財政状況を踏まえて決断したといい、「断腸の思いだ」と述べた。分校の設置条例について、現在開会中の村議会で議論される見通し。
同校は約30人の生徒が通う本州唯一の村立高校で、正式名称は「山添村立奈良県立山辺高等学校山添分校」。村立でありながら県が管理するという状況に対し、平成28年に文部科学省から是正するよう指導を受け、村は対応を検討してきた。
野村村長が諮問した「分校の在り方委員会」は令和5年、「村立の定時制高校として本校化して存続すべきだ」と答申。今年2月には卒業生ら有志が「村にとって高校があるのは大きな財産だ」などとして、存続を求める約3千人分の署名を村に提出した。
そうした中で、野村村長が懸念したのが、村の財政状況だ。本校化した場合は校舎の維持管理費用など毎年3千万円程度がかかるが、現在約3千人いる村の人口は減少が続いており、税収の増加は見込めないという。野村村長は「分校を存続するための体力や財力が村にはない。このまま維持すれば、村の財政を圧迫し、村民の生活を守れなくなる」と説明した。

山添分校の閉校について説明する野村栄作村長=山添村
この日の村議会では、昨年6月に同校で開講し、同校の生徒たちが村内外の大人と一緒に有機農業を学ぶ「オーガニックスクール」のあり方についても議論になった。
野村信介村議は「分校の生徒たちが頑張りだしたところで閉校するとなれば、(オーガニックスクールを打ち出した)宣言は色あせたものになり、迷走としか思えない」と指摘した。これに対し野村村長は「まだ閉校まで時間はある。4年間のうちに分校に変わる新たな学びの機関ができないか、村民とともに考えていきたい」とした。