三郷町最古の桜「遍照院シダレザクラ」 後継樹の苗木が里帰り

「遍照院シダレザクラ」を前に植樹を行う(左から)白石良文住職、木谷慎一郎・三郷町長、山田浩雄・関西育種場長=同町
樹齢約300年で「三郷町最古のサクラ」として町民らに親しまれている町指定天然記念物「遍照院シダレザクラ」について、同町や遍照院の関係者らが25日、後継樹となるサクラの苗木を境内に植えた。関係者らは「町のシンボルとして大切に育てたい」と話している。
高台の遍照院境内に生えるシダレザクラは、見頃を迎えると傾斜地に流れるようにピンクの花が咲き誇る。高さ約13㍍、枝の広がりは約20㍍に及び、地域の人が愛する桜の名所の一つとなっている。平成4年には町の天然記念物に指定されている。

咲き誇る遍照院シダレザクラ=平成23年(三郷町提供)
ところが近年、樹勢の衰えが目立つようになり、町と同寺は令和3年に国立研究開発法人「森林研究・整備機構森林総合研究所」林木育種センター関西育種場(岡山県勝央町)にクローン苗木の増殖を依頼。高さ約1㍍の苗木が6本育ち、うち2本が、同町に〝里帰り〟することになった。
この日は町や寺、研究所の関係者らが境内に集い、母木のそばにこのうちの1本を植樹。同研究所の山田浩雄・関西育種場長は「長く生きてきた巨樹は、気候変動や虫害を耐えてきた適応力を備えた遺伝子を持つ木といえる。その遺伝子を引き継ぐ木として、この地で根を張り、大きく育つことを期待しています」とあいさつした。白石良文住職(75)は「永代にわたって咲き誇るよう祈った。これからも町のシンボルとして、町とともに大切に育てていきたい」と話した。
里帰りしたもう1本は26日に、大伴家持(おおとものやかもち)が龍田山の桜を詠んだ万葉歌の歌碑が立つ三室山遊歩道に植栽される。