国内最多 鏡103枚分の破片公開 「大王墓」桜井茶臼山古墳に迫る 橿考研で特別展

103枚分の青銅鏡の破片が並ぶ特別展=橿原市の県立橿原考古学研究所付属博物館
初期ヤマト王権の大王墓とされ、国内最多の103枚分の青銅鏡が発見された桜井市の桜井茶臼山古墳(3世紀末、全長204㍍)の実像に迫る特別展が橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。青銅鏡は権威の象徴とされ、103枚分の鏡の破片が公開されるのは初めてで、強大な権力を誇る大王の姿がうかがえる。
同古墳は、邪馬台国の女王・卑弥呼の墓ともいわれる桜井市の箸墓(はしはか)古墳(3世紀中ごろ~後半、同280㍍)から約3㌔南に位置。同研究所が平成21年に後円部の竪穴式石室を発掘したところ、青銅鏡の破片が数㌢大に割れた状態で出土した。当初は完全な形で埋葬されたが、盗掘で踏み荒らされたとみられ、破片は計385点にのぼる。文様を詳細に調べた結果、少なくとも103枚分あることが確認された。

盗掘などで割られた青銅鏡の破片
なかでも、直径30㌢以上の国内最大級の内行花文鏡(ないこうかもんきょう)と呼ばれる日本製の鏡の発見は研究者を驚かせた。青銅鏡は弥生時代以来、中国から輸入されたが、同古墳が造成された時には大型鏡を国内で独自に生産したことが初めて明らかになった。
特別展では鏡の精緻な文様を間近で見ることができ、平井洸史(たけし)主任研究員は「鏡を100枚以上持つほど隔絶した権力があった被葬者が、各地の首長に鏡を配布することで権力基盤を固めていった状況が分かる」と説明。大王のシンボルとされる玉杖(ぎょくじょう)、被葬者が納められた木棺の底板(長さ4・9㍍)なども展示されている。
会場では、箸墓古墳出土の大型つぼ、卑弥呼の次の女王の壹与(いよ)の墓ともいわれる天理市の西殿塚古墳(3世紀末、同230㍍)の大型円筒埴輪なども展示。両古墳は宮内庁の管理で立ち入りが禁じられているだけに、遺物を通じて大王墓の姿をたどることができる。
6月15日までで入館料は大人千円、大学生450円、18歳未満と高校生は無料。月曜休館(祝日除く)で4月28日は開館、5月7日は休館。4月27日、5月11日、6月1日の午後1時からはヤマト王権などをテーマに研究講座(無料)が開かれる。詳細はホームページか同館(0744・24・1185)。