88戸参りは八十八カ所霊場と同じ御利益?大和郡山・番条町「お大師さん」
2025年04月23日 産経新聞奈良支局 最新ニュース

弘法大師像に手を合わせる僧侶ら=大和郡山市
奈良県大和郡山市番条町の88戸の家屋に収められている木像の弘法大師像を開帳する「お大師さん」が21日、行われた。それぞれの家の門前に置かれた厨子には、花や赤飯、タケノコやワラビなどが供えられ、お参りする人に無償で提供する「お接待」の餅も並んだ。
同町内の弘法大師信仰は、江戸末期の大洪水やコレラの流行という災害・疫病から始まったとされる。町内すべてのお大師さんを参れば、四国八十八カ所霊場巡りと同じ御利益を得られるとされ、毎年多くの人が訪れる。
四国八十八カ所の第22番札所にあたる平等寺(徳島県阿南市)の谷口真梁住職(46)は「毎年お参りさせてもらっているが、一つの集落そのものが霊場になることはほかにない。地域のつながりで残っていた文化ですね」と話す。
母親とともに訪れた大和郡山市の会社員女性(54)は「こうした風習をずっと守ってもらいたい」と話していた。