全国の綿花栽培者らが集結、コットンサミット11月に天理で 「綿を身近に感じて」

「綿を通して歴史や人とのつながりを感じてもらいたい」と話す梅田正之さん=天理市
全国の綿花の生産者や加工業者らが一堂に集う「全国コットンサミット」が11月15、16日に奈良県天理市内で開催されることが決まった。県内はかつて大和木綿の一大産地として知られていたが、近代以降は衰退。関係者らは「綿を身近に感じてもらう機会にしたい」と意気込んでおり、5月3日には同市内で機運醸成のための関連イベントも開く。
同サミットは国内の綿花栽培の普及を通じて、農業・教育・福祉に関わるさまざまな社会問題の解決につなげることを目的に、平成23年に大阪府岸和田市から始まり、25年には広陵町でも開催されている。
天理市内でのサミット開催に向け、市などに働きかけてきたのが、綿作りを通じて不登校や引きこもりの人らを支援する団体「H.A.M.A.木綿庵」(同市)の代表、梅田正之さん(66)だ。「収穫してから糸を紡ぎ、染め、織り上げるまで簡単にできることが綿の魅力の一つ」と語る。
梅田さんは、かつて精神的に不安定だった頃があり、そのときに綿作りに出合い、心が安定した経緯がある。そうした自身の経験から、20年にH.A.M.A.木綿庵を設立。山の辺の道沿いの天理市乙木町にある約2千平方㍍の栽培放棄地の畑を活用し、不登校や引きこもり、心の病を持った人らとともに綿花や野菜などを育てている。
梅田さんによると、天理市をはじめ、広陵町や大和高田市で、布団の中綿や大和絣の原材料である綿が栽培されてきた。「綿はほんの100年ほど前は身近な存在だったことを知ってもらいたい」と話す。
サミットのテーマは「いのちと未来にたねをまく|SDGs未来を担うこどもたちへ、人生百年時代のその先を見据えて」。綿の手紡ぎや手織り技術など伝統文化にたずさわる人々による講演会や一般参加型のワークショップなども行われる予定。
5月3日午前10時半からは、関連イベントをH.A.M.A.木綿庵で開催。綿の種まきや綿から種を出す綿繰りの体験を行う。参加者には綿の種をプレゼントする。